「家族が退院することが決まり訪問看護を進められたけど、どんなサービス内容?」「費用はどのくらいかかる?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。特に、退院後の健康管理や薬の管理を看護師に任せる必要がある場合、家族としてしっかりとサービス内容を理解しておきたいものです。
本記事では、訪問看護のサービス内容や利用方法、費用について詳しく解説します。訪問看護の利用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
訪問看護の内容は?自宅等で療養する方に看護ケアを行うこと

訪問看護とは、自宅等で療養する方に対し、看護師等の医療専門職が訪問し療養上の世話又は必要な診療の補助、いわゆる看護ケアを行うことです。
病気やケガなどで通院が困難な方や、退院後も引き続き医療的ケアが必要な方に、看護師等が直接訪問し、健康状態の観察や医療処置、療養上の世話など、療養生活をサポートするサービスとなります。
例えば、寝たきりの状態にある方の褥瘡予防や処置、がんの終末期にある方の疼痛コントロールや症状緩和など、療養者の病状や必要とするケアに合わせて、きめ細やかな看護サービスを提供します。
そのため、訪問看護は単なる医療行為に留まらず、利用者の心のケアや生活の質の向上も目指しています。病院や施設とは異なり、利用者が慣れ親しんだ環境でケアを受けられる点が大きな特徴です。
訪問看護はどんなサービス内容が提供される?
訪問看護ではどんなサービス内容が提供されるのでしょうか?主に以下の8つのサービスが提供されます。
- 疾患や健康状態の管理
- 医療処置や医療機器の管理
- 日常生活に対する支援
- リハビリテーション
- 緊急時の看護師による訪問
- 終末期や緩和ケアに関する看護
- 介護相談などの家族支援
- 医療機関や多職種との連携 など
それぞれの内容について見ていきましょう。
1.疾患や健康状態の管理
訪問看護では、利用者の病状や健康状態を定期的にチェックすることもサービス内容の1つです。体温、血圧、脈拍などのバイタルサインの測定や、症状の観察を行い、必要に応じて医師に報告します。また、服薬管理や注射、点滴などの医療行為も行います。
訪問看護師による定期的な健康管理があれば、利用者は安心して在宅療養を続けることが可能です。病院に頻繁に通わなくても、必要な医療を受けられるため、ご家族の負担軽減にもつながるでしょう。
2.医療処置や医療機器の管理や指導
在宅で医療処置や医療機器を使用している方には、訪問看護師が管理や指導も行います。例えば、胃ろうや気管切開、人工呼吸器、留置カテーテルなどの処置や管理です。医療機器の正しい使用方法や、トラブル時の対処法などを利用者や家族に指導し、安全に使用できるようサポートします。
3.日常生活に対する支援
訪問看護では、利用者の日常生活動作(ADL)の維持・向上を目的として、食事や排泄、入浴などの支援を行います。身体機能の低下により、自力で行うことが難しくなった動作をサポートし、できる限り自立した生活を送れるよう援助することも重要な役割の1つです。
生活リズムを整えるアドバイスや、家族へのケア方法の指導を通じて、在宅療養が円滑に進むよう支援します。
4.リハビリテーション
訪問看護では、利用者の身体機能の維持・回復を目指したリハビリテーションも実施します。医師の指示に基づいて、利用者の状態に応じた運動やトレーニングを提供し、生活動作の改善を図るのです。
また、関節の可動域を広げる訓練や筋力維持、転倒予防の指導なども行います。利用者の目標に合わせた個別プランを作成し、心身の健康をサポートします。さらに、リハビリテーションを継続することで、寝たきりを防止し、QOL(生活の質)の向上につなげることが可能です。
5.緊急時の看護師による訪問
訪問看護では、利用者の容態が急変した際の緊急訪問にも対応します。24時間365日、利用者からの連絡を受けて看護師が駆けつけ、必要な処置を行います。
例えば、発熱や呼吸困難、意識レベルの低下などの症状が出た場合です。早期の対応により、重症化を防ぎ、安心して在宅療養を続けられるようサポートします。
また、事前に緊急時の対応計画を立て、利用者や家族に周知することで、不測の事態にも落ち着いて対処することが可能です。この体制により、利用者とその家族の安心感を高めます。
6.終末期や緩和ケアに関する看護
訪問看護では、終末期の利用者や、がん等の疾患で緩和ケアを必要とする方の看護も行います。痛みや呼吸困難などの症状緩和を目的に、医師の指示に基づいて薬剤の調整や処置を行います。
また、利用者や家族の精神的ケアも重要な役割です。不安や悩みに寄り添い、残された時間を穏やかに過ごせるよう支援します。さらに、利用者の希望に寄り添ったケアプランを作成し、家族と共に最後の時間を支える体制を整えることも訪問看護の役割です。
7.介護相談などの家族支援
訪問看護では、利用者だけでなく介護をする家族に対する支援も行います。介護方法の指導や、福祉サービスの利用に関する情報提供、悩み相談など、様々な形で家族をサポートすることが必要です。家族の心身の負担を軽減し、在宅療養を継続できる環境づくりを目指します。
8.医療機関や多職種との連携
訪問看護では、かかりつけ医や専門医、ケアマネジャーなど、他の医療・介護従事者といった多職種と連携しながら利用者を支えます。例えば、利用者に異変があった場合には、医師や関係機関と連携していれば、適切な医療につなげることが可能です。
また、ケアマネジャーと協力して、介護保険サービスの調整を行うこともあります。多職種と情報共有し、チームで利用者を支援することで、安心できる療養生活の実現ができます。
日常生活のサポートについては訪問看護の対象ではない
訪問看護は医療的なケアが中心となるため、掃除や洗濯、調理などの日常生活に関するサポートは基本的に提供されません。これらの家事援助サービスは、介護保険の訪問介護員による訪問介護サービスで受けられます。
ただし、医療的な観点から日常生活の支援が必要と判断された場合、一部のサポートが訪問看護でも行われることがあります。例えば、入浴介助は清潔保持のためにも重要であり、療養上の世話として訪問看護の対象となる場合があるのです。
また、認知症の方の見守りや、ストーマ(人工肛門)のある方の排泄ケアなども、医療的な支援と日常生活支援が重なる部分です。このような場合、主治医と相談して、訪問看護と訪問介護のどちらが適切かを判断します。
訪問看護の利用を検討する際は、利用者のニーズに合わせてケアプランを立てることが大切です。日常生活のサポートが必要な場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談し、適切なサービスを組み合わせましょう。
訪問看護ステーションにいるのは看護師だけではない

訪問看護ステーションには、看護師の他にも様々な専門職が在籍しています。利用者の症状や状況に合わせて、多職種連携によるきめ細やかなケアが提供されるのです。
理学療法士・作業療法士は、リハビリテーションを担当します。理学療法士は主に歩行や移動能力の回復を、作業療法士は日常生活動作(ADL)の改善を目的に、訪問してリハビリテーションを行っているのです。言語聴覚士は、言語障害や摂食・嚥下障害のある方に対して、コミュニケーション能力の向上や飲み込み(嚥下)の評価と訓練を通じて、安全に栄養摂取ができるようサポートします。
また、医療ソーシャルワーカーも訪問看護ステーションに所属していることがあります。医療ソーシャルワーカーは、療養生活における社会的な問題の解決を支援する専門職です。医療費の相談や社会資源の活用など、療養環境を整えるための助言を行います。
訪問看護を利用する際は、看護師だけでなく、これらの多職種によるサポートも受けられることを覚えておきましょう。ただし、訪問看護ステーションによって在籍している専門職は異なります。事前に確認しておくと安心です。
(※理学療法士はPT、作業療法士はOT、言語聴覚士はST、医療ソーシャルワーカーはMSWと略されることがあります)
訪問看護の利用には主治医からの訪問看護指示書が必要
訪問看護を利用するためには、事前に主治医から「訪問看護指示書」を発行してもらう必要があります。この指示書には、利用者の病状や必要な看護内容、訪問頻度など主治医の指示が記載されており、訪問看護ステーションはこの指示書に基づいてサービスを提供します。
指示書の発行は、主治医だけではなく入院中の病院の医師に相談することで手続きが可能です。ただし、介護保険と医療保険では、利用できる対象者や条件が異なるので注意が必要です。それぞれの保険について、以下で詳しく説明します。
介護保険で利用できる方
介護保険で訪問看護を利用できるのは、以下に当てはまる方です。
| 介護保険で利用できる方 | |
| 65歳以上 | 要支援・要介護認定を受けた方 |
| 40~64歳 | 16特定疾病の対象者で要支援・要介護認定を受けた方 |
ただし、介護保険の場合、医療的なニーズが高い場合は訪問看護の利用が制限される場合があります。例えば、点滴や酸素吸入、褥瘡の処置などは医療保険での対応となります。介護保険で利用できるサービスは、主に療養上の世話や診療の補助に限られます。
医療保険で利用できる方
一方、医療保険での訪問看護は、年齢に関係なく、疾病や負傷によって在宅療養が必要な方が対象です。医療的ニーズが高く、医師が必要と判断した場合に利用が可能となります。
医療保険で利用できるのは、以下に当てはまる方です。
| 医療保険で利用できる方 | |
| 0~39歳 | 医師が訪問看護の必要性を承認した方 |
| 40~64歳 | ・要支援や要介護認定を受けていない方 ・16特定疾病に該当しない方 ・厚生労働大臣が定める疾病または状態等に該当する方 ・医師から特別指示書が出ている方 |
| 65歳以上 | ・要支援や要介護認定を受けていない方 ・厚生労働大臣が定める疾病または状態等に該当する方 ・医師から特別指示書が出ている方 |
医療保険での訪問看護では、点滴や酸素吸入、褥瘡の処置など、より専門的な医療的ケアを受けることができます。ただし、日常生活の支援については、介護保険のサービスを併用することが必要です。
訪問看護の費用は?自己負担額は利用者ごとに異なる
訪問看護の費用は、利用者ごとに異なります。これは、訪問看護の費用が介護保険と医療保険の両方で賄われており、利用者の年齢や健康状態などによって、どちらの保険を適用するかが変わるためです。
また、介護保険と医療保険では、自己負担額の計算方法が異なります。さらに、利用者の所得状況やサービスの利用頻度も影響するため、同じ訪問看護サービスを受けたとしても、利用者ごとに自己負担額が変わるのです。
ここでは、介護保険と医療保険それぞれの場合について、訪問看護の自己負担額の計算方法をご説明します。
介護保険で利用する場合
介護保険で訪問看護を利用する場合、訪問看護の費用は「介護サービス費用」の一部として計算されます。原則として利用者の自己負担は1割から3割となりますが、利用者の所得に応じて異なります。
例えば、低所得者には1割負担が適用される場合が多いです。一方で、高所得者の場合は2割または3割負担となります。
訪問看護の具体的な費用は、提供されるサービス内容や回数、時間によって変わりますが、訪問1回あたりの基本料金が設定されています。さらに、特別な医療処置や緊急対応が必要な場合、加算料金が発生することがあるのです。
ただし、介護保険にはサービス費用の「限度額」が設定されており、この枠を超えた分は全額自己負担(10割)となります。そのため、訪問看護以外の介護サービスを併用する場合は、ケアマネジャーと相談しながら計画的に利用することが重要です。
定期的にケアプランを見直し、利用者の状況に応じた適切なサービスを選ぶことで、負担を軽減しながら必要なケアを受けることができます。
医療保険で利用する場合
一方、医療保険で訪問看護を利用する場合、費用は医療費として計算され、利用者の負担割合は原則1割から3割となります。ただし、介護保険とは異なり、自己負担額の上限は設けられていません。
医療保険での訪問看護費用は、訪問する看護師の回数や内容、提供される医療処置に基づいて計算されます。例えば、点滴や人工呼吸器の管理など専門的な医療行為には、加算料金が適用される場合があるのです。
しかし、利用者の負担を軽減するために公的な制度や自治体独自の助成制度が適用できる場合もあります。
まとめ
訪問看護は、退院後の健康管理や薬の管理を含め、医師の指示のもとで看護師が利用者の生活を支える大切なサービスです。初めて利用する際には、どのような支援が受けられるのかや費用の詳細が気になるものですが、事前にしっかりと情報を把握しておくことで安心して利用できます。
訪問看護を上手に活用することで、利用者が自宅でより快適に過ごせるようサポートでき、家族も安心して療養生活を支えることが可能です。訪問看護を利用する際には、まずは主治医や訪問看護ステーション、自治体の担当窓口などに相談してください。
参照元:厚生労働省 訪問看護のしくみ、訪問看護、訪問看護参考資料、どんなサービスがあるの? – 訪問看護、サービスにかかる利用料、我が国の医療保険について、医療保険行政の概要、在宅人工呼吸器使用患者支援事業について

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