介護が必要になったとき、まず気になるのは「費用」のことではないでしょうか。介護施設の利用や在宅サービスにかかる費用は、家計に大きな影響を及ぼす場合があります。しかし、事前に介護保険制度や費用負担の仕組みを把握しておくことで、不安を和らげ、適切な選択をするための助けとなります。
この記事では、介護サービスにかかる費用の目安、自己負担額、さらに費用負担を軽減する具体的な方法について、わかりやすく解説します。大切なご家族のため、またはご自身の将来に備えるために、ぜひお役立てください。
目次
介護サービスとお金:介護費用や制度の違いを徹底解説!料金の種類や自己負担額、軽減方法も紹介
日本では、高齢者や要介護状態の方々が安心して暮らせるよう、介護保険制度が整備されています。この制度を活用することで、多様な介護サービスを受けることが可能です。また、利用者が負担する自己負担額についても、明確なルールが定められています。以下で詳しく解説します。
介護保険で受けられるサービスの種類について
介護保険制度は、高齢者が自立した生活を維持するためのサポートを提供する目的で整備された制度です。この制度では、介護が必要な方々に向けて、多岐にわたるサービスが提供されています。これらのサービスは大きく、「在宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の三つに分類され、利用者のニーズに応じた支援が行われます。
本記事では、これらのサービスの内容について詳しくご紹介します。
1. 在宅サービス
在宅サービスは、自宅など住み慣れた環境で生活を続けながら、必要な介護や支援を受けられる仕組みです。
訪問介護:介護福祉士やホームヘルパーが自宅に訪問し、食事の支度や掃除、身体介護などを行います。
訪問看護:看護師が自宅を訪れ、健康管理やリハビリ、医療的なケアを提供します。
通所介護(デイサービス):日中に通所して、入浴や食事、リハビリ、レクリエーションなどのサービスを受けることができ、自宅での生活と施設での支援をバランスよく提供します。
その他:短期入所生活介護 (ショートステイ)、訪問リハビリテーション、訪問入浴介護など
2. 施設サービス
施設サービスは、要介護状態にある高齢者が施設に入所し、必要な支援を受けられるサービスです。このサービスでは、24時間体制で介護が必要な方々に対し、専門的な支援が提供されます。
特別養護老人ホーム(特養):日常的な介護が必要な高齢者が入所し、24時間体制で介護を受けられる施設です。
老人保健施設(老健):病院からの退院後にリハビリを通じて在宅復帰を目指す高齢者向けの中間的な施設です。
その他:介護療養型医療施設、介護医療院など
3. 地域密着型サービス
地域密着型サービスは、高齢者が認知症などで要介護状態になった場合でも、住み慣れた地域で可能な限り長く生活を続けられるよう、市町村が指定した事業者が地域住民に提供するサービスです。このサービスを提供する施設は小規模で、利用者のニーズに細やかに対応できることが期待されています。なお、サービスを利用できるのは、事業者が所在する市町村に住む住民に限られます。
小規模多機能型居宅介護:ひとつの事業所で「訪問」「通い」「宿泊」の3つのサービスを提供するサービスです。
認知症対応型通所介護:認知症の方が自宅で自立した生活を送れるように、機能訓練やレクリエーションを提供し、心身機能の維持・向上を目指す通所型の介護サービスです。
その他:定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)など
介護保険で受けられるサービスは、利用者の生活環境や介護の度合いに応じて、多様な形態で提供されています。自宅での生活を支える「在宅サービス」、施設で専門的な支援を受ける「施設サービス」、地域社会と連携して支援を提供する「地域密着型サービス」など、それぞれのニーズに合わせて選ぶことが可能です。介護保険を上手に活用すれば、より充実した生活を実現できるでしょう。
在宅介護の費用と自己負担額:要介護度別の金額目安
在宅介護では、訪問介護やデイサービスなどを利用する際に料金が発生します。費用は、サービスの内容や利用時間によって異なります。
一方、施設介護では、特別養護老人ホームや老人保健施設などで、サービス費用に加えて居住費や食費が必要となります。金額は、施設の種類や立地条件、提供されるサービス内容によって大きく変動します。
訪問介護:サービス区分別の自己負担額
在宅介護では、利用するサービスの内容や所要時間によって費用が変わります。訪問介護は、大きく分けて「身体介護」と「生活援助」の2種類があります。「身体介護」は、食事や入浴、排泄など身体に直接関わる介助を指し、「生活援助」は掃除や洗濯、買い物など日常生活を支える援助を指します。それぞれのサービスには自己負担額が設定されており、以下の表で具体的な費用をご確認いただけます。
| 区分 | 1回あたりの所要時間 | 自己負担額の目安(1割の場合) |
| 身体介護 | 20分以上 30分未満 | 244円/回 |
| 30分以上 1時間未満 | 387円/回 | |
| 1時間以上1時間30分未満 | 567円/回 | |
| 1時間30分以上 ※30分増すごとに加算 | 82円/回 | |
| 生活援助 | 20分以上 45分未満 | 179円/回 |
| 45分以上 | 230円/回 |
参照元:厚生労働省 訪問介護 基本報酬
デイサービス:要介護度に応じた自己負担額
デイサービスは、要介護や要支援の高齢者が日中に施設を利用し、食事や入浴、リハビリ、レクリエーションなどの支援を受けることができるサービスです。このサービスは、自宅での生活を継続しながら、家族の介護負担を軽減し、利用者に社会交流の機会を提供することを目的としています。
| サービス費用の設定 | 自己負担額の目安(1割の場合) | |
| 通常規模の事業所の場合 (7時間以上8時間未満) ※通常規模とは1ヵ月の平均利用延べ人数750人以内を指します。 | 要介護1 | 658円/日 |
| 要介護2 | 777円/日 | |
| 要介護3 | 900円/日 | |
| 要介護4 | 1,023円/日 | |
| 要介護5 | 1,148円/日 | |
参照元:厚生労働省 どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス)
施設介護にかかる費用
施設介護を利用する際には、介護保険サービスの適用を受けつつも、要介護度や居室タイプ、施設の種類によって費用が異なります。例えば、特別養護老人ホーム(特養)では、多床室やユニット型個室など、選択する環境によって自己負担額が変わります。
この記事では、特養における基本的な自己負担費用の目安を、要介護5の場合を例に挙げて詳しく解説します。また、介護費用軽減制度や給付金についてもご紹介し、費用負担の見通しを立てるための参考情報をご提供します。
特養の1ヶ月の自己負担(1割負担)の目安
◯要介護5の人が多床室を利用した場合
| 施設サービス費 | 26,130円(871円/日) |
| 居住費 | 27,450円(915円/日) |
| 食費 | 43,350円(1,445円/日) |
| 日常生活費 | 10,000円(施設により設定されます。) |
| 合計 | 104,200円 |
◯要介護5の人が個室(ユニット型)を利用した場合
| 施設サービス費 | 28,650円(955円/日) |
| 居住費 | 61,980円(2,066円/日) |
| 食費 | 43,350円(1,445円/日) |
| 日常生活費 | 10,000円(施設により設定されます。) |
| 合計 | 141,430円 |
参照元:厚生労働省 サービスにかかる利用料
これらの金額は目安であり、施設や地域、所得に応じて異なる場合があります。詳細については、施設や自治体の窓口、またはケアマネージャーにご相談ください。
高額介護サービス費:自己負担の軽減をサポート
介護サービスを利用する際、月々の自己負担が予想以上に高額になる場合があります。特に、長期間にわたり介護が必要なケースや、複数のサービスを併用する場合、自己負担額が大きくなることが懸念されます。そうした負担を軽減するために役立つのが、「高額介護サービス費」制度です。
高額介護サービス費の仕組みとは?
高額介護サービス費は、介護保険を利用したサービスの自己負担が一定の上限を超えた場合に、その差額が払い戻される仕組みです。介護保険サービスを利用する際の月ごとの自己負担額は、利用者の所得やサービス内容に基づいて決定されます。しかし、さまざまな要因で自己負担が高額になる場合、この制度を利用することで負担を軽減することが可能です。
支給条件と対象者
| 所得段階 | 所得区分 | 上限額 |
| 第1段階 | 生活保護を受けている人 | 個人15,000円 |
| 生活保護を受けなくても、15,000円に減額された場合 | 世帯15,000円 | |
| 市町村民税がかからない老齢福祉年金を受け取っている人 | 世帯24,600円 | |
| 第2段階 | 市町村民税がかからなくて、年金などの収入とその他の所得が合わせて80万円以下の人 | 世帯24,600円 |
| 第3段階 | 市町村民税がかからなくて、15,000円に減額された人 | 世帯24,600円 |
| 第4段階 | 所得が約380万円(年収約770万円)未満の人 | 世帯44,400円 |
| 所得が約380万円(年収約770万円)以上で、約690万円(年収約1,160万円)未満の人 | 世帯93,000円 | |
| 所得が約690万円(年収約1,160万円)以上の人 | 世帯140,100円 |
※参照元:厚生労働省 高額介護(介護予防)サービス費の概要について
この制度を利用できるのは、介護保険サービスを受けている方で、月々の自己負担額が所定の上限額を超えた場合です。上限額は、個人や世帯の所得に応じて設定されています。
支給額とその流れ
支給額は、自己負担が上限を超えた金額に基づいて算定されます。支給が決定されると、自治体からその差額が払い戻されます。支給額は自治体によって異なるものの、基本的には自己負担額が上限を超えた分が返金される仕組みとなっており、これにより金銭的な負担が大幅に軽減されます。
高額介護サービス費を利用するために
高額介護サービス費を利用するには、月々の自己負担額が上限を超えたことを自治体に届け出る必要があります。そのため、自己負担額がどの程度になるのかを常に把握しておくことが重要です。また、各自治体の福祉課などで詳細を確認し、必要な手続きを進めることが求められます。
まとめ
介護サービスにかかる費用は、サービスの種類や利用頻度、要介護度によって大きく異なります。しかし、介護保険制度や高額介護サービス費を効果的に活用することで、家計への負担を軽減することができます。
介護は家族の生活に大きな影響を及ぼすため、費用について正しい知識を持つことが欠かせません。この記事でご紹介した情報を参考に、適切なサービスを選び、負担を軽減する方法を検討してみてください。
また、具体的な費用や利用方法に関する疑問は、地域の窓口やケアマネージャーに相談することをおすすめします。家族の生活を支え、安心を確保するために、早めの準備と情報収集を進めていきましょう。
参照元:厚生労働省 訪問介護・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・高額介護サービス費

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